重要判例解説(1);最高裁判所平成21年4月17日判決

1 事案
A社は,平成8年から同12年の間,Y社(被告=原告・控訴人=付帯控訴人・被上告人)から借入れを行っていたが,その結果過払金が生じていた。
平成16年12月4日,X社(原告・被控訴人=付帯控訴人・上告人)はAに対して約3億3000万円の貸金債権を有していたところ,同社代表取締役は,AのYに対する過払金額は約2億1000万円であるとして,A代表取締役との間で,過払金に係る不当利得返還請求権をXに譲渡する旨の合意をした(本件債権譲渡)。A代表取締役は,同月7日,Yに対して本件債権譲渡の通知をした。
Aは平成16年5月に約20億円の負債を抱えて事実上倒産しており,上記過払金返還請求権以外に価値のある財産はほとんど残っておらず,また,本件債権譲渡についてのA取締役会決議も行っていなかった。なお,Xはこれらの事情を知悉していた。
XはAから譲り受けた過払金返還請求権に基づいてYに支払を求めたが,原判決(東京高判平成19年4月25日)は,本件債権譲渡は取締役会決議が必要な重要な財産の処分に当たるにもかかわらず取締役会決議が無く,Xもそれを知っていたことを理由に,本件債権譲渡を無効とした。

2 判旨
 破棄差戻し。
「同項〔会社法362条4項〕が重要な業務執行についての決定を取締役会の決議事項と定めたのは,代表取締役への権限の集中を抑制し,取締役相互の協議による結論に沿った業務の執行を確保することによって会社の利益を保護しようとする趣旨に出たものと解される。この趣旨からすれば,株式会社の代表取締役が取締役会の決議を経ないで重要な業務執行に該当する取引をした場合,取締役会の決議を経ていないことを理由とする同取引の無効は,原則として会社のみが主張することができ,会社以外の者は,当該会社の取締役会が上記無効を主張する旨の決議をしているなどの特段の事情がない限り,これを主張することはできないと解するのが相当である。
これを本件についてみるに,前記事実関係によれば,本件債権譲渡はAの重要な財産の処分に該当するが,Aの取締役会が本件債権譲渡の無効を主張する旨の決議をしているなどの特段の事情はうかがわれない。」

3 解説
本件判決は,取締役会決議を経ずに重要な業務執行を行った場合の当該取引の効力,および,無効の主張権者について示したものである。
前者については,心裡留保と同様の扱いをする旨の最高裁判決(〔1〕最高裁昭和40年9月22日判決)が既に存在しており,これを踏襲している。
後者については,362条4項が取締役会決議を要求している趣旨は会社の利益保護にあるとして,判決〔1〕の規範からすれば無効となり得る場合でも,その無効を主張できるのは原則として会社のみである旨判示した。なお,最高裁判決がこの点について直接判示したのは本件判決が初めてである。

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