重要判例解説(2);最高裁判所平成21年3月10日判決

1 事案
X(原告・控訴人・上告人)はA株式会社の株主,Y(被告・被控訴人・被上告人)は同社の取締役である。
Xは,Aが購入した土地の所有権移転登記がY名義でなされているとして,平成17年法律87号による改正前の商法(以下,「旧商法」)267条1項に基づいて,Aへの真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続をすることを求めて株主代表訴訟を提起した。
この訴訟において,Xは,主位的には,Aの取得した本件各土地所有権に基づいてAへの真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を求めた。そして,予備的には,Aは本件各土地の買い受けの際に,Yを所有名義とする所有権移転登記手続をAから委託されており,期限の定めのないY所有名義の借用契約を締結していたが,遅くとも本件訴状がYに争奪された時までには終了しているとして,同契約終了に基づいて,Aへの真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を求めた。
原審(大阪高判平成19年2月8日)は,株主代表訴訟で追及することのできる取締役の責任は旧商法が取締役の地位に基づいて負わせている厳格な責任をいうのであって,取締役の地位に基づかないで会社に対して負っている責任の追及は株主代表訴訟の対象外だとして,本件訴えをいずれも不適法却下とした。

2 判旨
主位的請求につき上告棄却,予備的請求につき破棄差戻し。
「昭和25年法律第167号により導入された商法267条所定の株主代表訴訟の制度は,取締役が会社に対して責任を負う場合,役員相互間の特殊な関係から会社による取締役の責任追及が行われないおそれがあるので,会社や株主の利益を保護するため,会社が取締役の責任追及の訴えを提起しないときは,株主が同訴えを提起することができることとしたものと解される。そして,会社が取締役の責任追及をけ怠するおそれがあるのは,取締役の地位に基づく責任が追及される場合に限られないこと,同法266条1項3号は,取締役が会社を代表して他の取締役に金銭を貸し付け,その弁済がされないときは,会社を代表した取締役が会社に対し連帯して責任を負う旨定めているところ,株主代表訴訟の対象が取締役の地位に基づく責任に限られるとすると,会社を代表した取締役の責任は株主代表訴訟の対象となるが,同取締役の責任よりも重いというべき貸付けを受けた取締役の取引上の債務についての責任は株主代表訴訟の対象とならないことになり,均衡を欠くこと,取締役は,このような会社との取引によって負担することになった債務(以下「取締役の会社に対する取引債務」という。)についても,会社に対して忠実に履行すべき義務を負うと解されることなどにかんがみると,同法267条1項にいう「取締役ノ責任」には,取締役の地位に基づく責任のほか,取締役の会社に対する取引債務についての責任も含まれると解するのが相当である。」

3 解説
株主代表訴訟において追及できる取締役の責任についての見解は,会社に対して負担する全ての債務を含むとする立場と特に重要で免除が困難又は不可能な責任の身をいうとする立場とに大別される。
だが,本件判決は,これらの見解のいずれにも立たないことを示したうえで,会社との取引によって負担することになった債務も株主代表訴訟による責任追及の対象となる旨判示した。
なお,本件判決は旧商法についてされたものであるが,会社法847条1項と旧商法267条1項とは内容的に類似していることから,会社法に置いても本判決の考え方が基本的に通用するものとみられる。

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