重要判例解説(4);東京地方裁判所平成21年5月21日判決

1 事案
Y1・Y2(被告)は,ともに東京証券取引所マザーズ市場に株式を上場する株式会社であり,Y2はY1の子会社である。
平成16年9月期,子会社Aは,投資事業組合Bを通して,Y1株式売却による利益を取得し,これを売上高に含める等した内容の有価証券報告書を提出した。
Y2は,平成16年10月25日,投資事業組合C名義で買収済みの会社を,株式交換比率1対1の株式交換で新たに買収するとの情報,及び,平成16年12月期第3
四半期通期において増収増益を達成するとの情報を,東京証券取引所の適時開示で公表した。
その後,Y1は旧証券取引法(以下,「旧証取法」)違反の容疑で,Y1本社などに対する強制捜査を受け,その様子がテレビや新聞などで盛んに取り上げられる等した
ことで,Y1及びY2の株価は急落し,平成18年4月14日には両社株式は上場廃止となった。
平成16年10月26日から平成18年1月16日までの間にY1又はY2の株式を取得したXら(個人株主3340名。原告)は,Y1が有価証券報告書に虚偽の記載したことやY2が虚偽の情報を公表したことによって,損害を被ったとして,Y1・Y2及びこれらの関係者に対して,損害賠償請求訴訟を提起した。

2 判旨
請求一部認容,一部棄却。
本件組合B」を利用したY1の株式の売却は,実質的には,Y1の子会社であるAが行ったものと認めるのが相当である。そうであれば,その売却益は,連結子会社であるAの処分差益となり,これをY1の連結損益計算書上,売上げとして計上することは許されないというべきである。有価証券報告書に掲載された連結損益計算書中の連結経常利益が,当該有価証券報告書を提出する企業の価値に対する判断,すなわち,投資家の投資判断に影響を与える事項であることは明らかである。したがって,本件有価証券報告書には,「重要な事項」につき虚偽の記載があるというべきである。これにより,Y1は,旧証取法21条の2第1項に基づき,Y1の取締役5名およびY1の監査役2名ならびに監査証明を行った監査法人は,旧証取法24条の4及び22条に基づき,さらに,当該監査法人の社員で監査報告書に署名押印を行った公認会計士等は,不法行為にもとづき,Xらに対して損害を賠償する責任を負う。
旧証取法21条の2第2項は,虚偽記載等のある有価証券報告書等が提出された場合に,虚偽記載等の事実の「公表された日」を基準として,投資家が被った損害額を推定する規程を定めているが,検察官は,ここにいう「公表」の主体となり得ると解すべきである。また検察官が報道機関に開示した事実が報道されるなどして,多数の者が当該事実を知り得る状態になれば,当該「公表」に当たるというべきである。
本件では,かかる公表日前後の1月間の平均株価の差額である585円(720円―135円)が,Y1株式1株の損害額と推定される。他方で,Y1・Y2に対する強制捜査,代表者等の逮捕と経営陣からの排除等の事情も,株価下落に相当の影響を与えたんのと推認される。そうだとすると,旧証取法21条の2第5項により,上記の推定損害額(585円)のうち,虚偽記載以外の事情により生じた株価の値下がり(損害)を約3分の2の385円と認めて,これを推定損害額から控除した200円を1株当たりの損害と認めるのが相当である。また,Y2の虚偽公表による損害については,民事訴訟法248条により,当該虚偽公表が明らかになる直前のY2の株価6150円から虚偽公表が明らかになった後1月間の取引日における終値平均額1414円への下落額4736円のうちの約2割に相当する1000円と認めるのが相当である。

3 解説
本件判決は,旧証取法下でのものだが,適用条文は金融商品取引法(以下,「金商法」)に引き継がれており,現行法下でも妥当する。
金商法21条の2第2項が有価証券虚偽記載による損害算定の基準として挙げている「公表日」について,検察官が報道機関に虚偽記載の事実を伝え,多数の者がこれを知り得る状態になった場合もこの「公表」に当たるとして,本件の損害を算定している。
その上で,虚偽記載以外の理由で値下がりした分については損害に当たらないとして,その分は賠償額から減額している。なお,値下がりのうちどの範囲までが虚偽記載によるものであるかの判断は困難であるため,その判断は裁判所の裁量にゆだねられている(金賞1条の2第5項)。
有価証券報告書虚偽記載による損害について,公表日前1月間の当該有価証券の平均額から公表日後1月間の当該有価証券の市場価格の平均額を控除した額とする。

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