重要判例解説(5);最高裁判所平成21年1月15日決定

1 事案
Y社(被申請人・抗告人=附帯相手方・抗告人)及びB社は青果仲卸業務の受託などを目的とする株式会社,A社は青果の仲買業などを目的とする株式会社であり,YはAの100%子会社であった。そして,YAは専ら野菜を取り扱っていて近い将来に果物を取り扱う予定はなく,Bは専ら果物を取り扱っていて近い将来に野菜を取り扱う予定はなかった。
X(申請人・相手方=附帯抗告人・相手方)はA社株式を5840株(総株主の議決権の約3,6%)有している。そして,Xの子CはA社株式を3万4320株(同約21,5%)及びB社株式の30パーセント以上を有し,B社の監査役に就任している。
X・Cは,平成17年改正前商法293条の8第1項に基づいて,原々審に対してYの会計帳簿などの閲覧謄写許可申請をしたところ,Cについては同法293条の7第2号の拒絶事由に当たるとして許可申請を却下して確定した(名古屋地決平成19年1月18日)。
原審(名古屋高決平成20年8月8日)は,XはCの母親で,Cと同居している上に,本件許可申請手続や本件における代理人弁護士も同一であるから,拒絶事由についても同一に解すべきだとした。その上で,会計帳簿などの閲覧謄写によって知り得る事実を自己の競業に利用し,または他の競業者に利用させようという主観的意図がないことを立証した場合には,競業会社の株主等であるという客観的事実があっても拒絶事由に該当せず閲覧謄写を許可されるところ,本件でYの野菜についての取引の情報をBの果物についての取引に利用されることはないのでXに主観的意図が存在しないことが立証されたといえるとして,Xの閲覧謄写を許可した。

2 判旨
抗告棄却
ⅰ「〔平成17年改正前〕商法293条の7第2号は......文言上,会計帳簿等の閲覧謄写によって知り得る事実を自己の競業に利用するためというような主観的意図の存在を要件としていない。そして,一般に,上記のような主観的意図の立証は困難であること,株主が閲覧謄写請求をした時点において上記のような意図を有していなかったとしても,同条2号の規定が前提とする競業関係が存在する以上,閲覧謄写によって得られた情報が将来において競業に利用される危険性は否定できないことなども勘案すれば,同号は,会社の会計帳簿等の閲覧謄写を請求する株主が当該会社と競業をなす者であるなどの客観的事実が認められれば,会社は当該株主の具体的な意図を問わず一律にその閲覧謄写請求を拒絶できるとすることにより,会社に損害が及ぶ抽象的な危険を未然に防止しようとする趣旨の規定と解される。
 したがって,会社の会計帳簿等の閲覧謄写請求をした株主につき同号に規定する拒絶事由があるというためには,当該株主が当該会社と競業をなす者であるなどの客観的事実が認められれば足り,当該株主に会計帳簿等の閲覧謄写によって知り得る情報を自己の競業に利用するなどの主観的意図があることを要しないと解するのが相当であり,同号に掲げる事由を不許可事由として規定する同法293条の8第2項についても,上記と同様に解すべきである。」
ⅱ「XとCは,いずれもYの親会社であるA社の総株主の議決権の100分の3以上を有する株主として,それぞれ各別にYの会計帳簿等の閲覧謄写請求をする資格を有するものである。したがって,同号に掲げる客観的事実の有無に関しては,X及びCの各許可申請につき各別にこれを判断すべきであって,XとCが親子であり同一の手続で本件会計帳簿等の閲覧謄写許可申請をしたということのみをもって,一方につき同号に掲げる不許可事由があれば当然に他方についても同一の不許可事由があるということはできない。そして,......XはB社の株主ではなく,B社の役員であるなどの事情もうかがわれないから,B社がYと競業をなす会社に当たるか否かを判断するまでもなく,相手方については同号に掲げる事由がないというべきである。」

3 解説
本件決定は,平成17年改正前商法293条の7第2号の拒絶事由について,最高裁として初めて,主観的意図は不要であることを示したものである。
そして,拒絶事由にあたる客観的事実の有無の判断については,各別に考え,Cに拒絶事由が認められるからといって,そのことを理由にCの母であるXにも同事由が認められるわけではないとした。
なお,本件決定は平成17年改正前商法についてのものであるが,会社法立法担当者が会社法433条2項3号は平成17年改正前商法293条の7第2号と実質的に同一の内容だと述べていることから,会社法下においてもなお妥当するものといえよう。

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