重要判例解説(6);東京地方裁判所平成21年3月31日決定

1 事案
Bは,米国法人Aの日本における完全子会社である。
株式会社X(申立人)は,平成19年3月6日,Aとの間で包括的戦略提携契約を締結し,これに基づいて,Aは,同年3月15日から同年4月26日までの間にかけて,Xの普通株式1株当たり1700円の買取価格による公開買い付けを実施し,Xの総株主の議決権の約61%を保有することになった。そして,その後も買い増した結果,同年
10月20日には,Xの発行済み株式総数の約67%(議決権割合約68%)を保有するようになった。
Xは,平成19年8月31日,Aから,Aの普通株式を対価に,BにXの発行済株式すべてを取得させてXをBの完全子会社とする株式交換(以下,「本件株式交換」)の
提案を受け,同年10月2日に,本件株式交換についての基本契約を締結した。この基本契約において,交換株式数=1700円/(Aの普通株式の平均株価×為替相場)とされた。
Xは,同年10月31日,Bとの間で,本件基本契約に基づいて,本件株式交換に係る株式交換の原契約を締結したが,その後Aの株価が大幅に下落したことから,同年11月14日,原契約を変更する株式交換契約が締結された。この変更の際に,1700円という基準価格は変更されなかった。
同年12月19日,Xは,株主総会において,本件株式交換契約を承認する旨の決議を行い,平成20年1月29日,本件株式交換は効力を生じた。
Y(相手方)は,Xの株式5000株を有する株主であったが,本件株式交換契約承認決議に反対して,Xに対して株式買取請求を行ったが,株式買取価格について協議が整わなかった。
そこで,Xは,株式買取価格の決定を求めた。

2 決定要旨
X発行に係る普通株式のうちYが有していた5000株の買取価格は,1株当たり1700円とする。
「株式交換の前に、その前提として、株式交換完全子会社となる会社の株式について公開買付けが行われた場合において、当該公開買付けにおける株式の公開買付価格と、当該株式交換における株式交換比率の算定の際の株式交換完全子会社株式の基準価格が同じ価格とされている場合には、当該価格は、その効力発生時において当該株式交換から生ずる相乗効果(シナジー)を織り込んだものとして設定されたものと推認するのが相当である。」
「そうだとすると、当該公開買付けが実施され、当該株式交換における株式交換比率算定の際の株式交換完全子会社株式の基準価格が決定された後に、株式交換完全子会社の株価が下落したとしても、当該株式交換に反対する同社の株主がした株式買取請求に基づく株式買取価格決定の際の「公正な価格」は、原則として、当該公開買付価格及び当該基準価格を下回ることはないと解するのが相当である。」
「本件公開買付け実施と本件株式交換発表との間は5か月あるものの、Aは本件公開買付け実施時から一貫してX株式の全てを取得することを株主等に明らかにし、そのとおりに行動しているのであって、これらの事実経過に照らすと、本件公開買付け及び本件株式交換はいわば一連のものと見ることができ、本件公開買付けは、本件株式交換の前にその前提として行われたものということができる。」
「客観的な事実経過から本件公開買付けは本件株式交換の前提として行われたものと認められ、かつ、本件株式交換における株式交換比率算定の際のX株式の基準価格を本件公開買付けの公開買付価格と同額である1株当たり1700円としたことに合理性が認められる本件にあっては、本件株式の「公正な価格」は、本件効力発生日において本件株式交換から生ずる相乗効果(シナジー)を織り込んだものとして設定されたものと推認される1株当たり1700円とするのが相当である。」

3 解説
本決定は,本件株式交換について,公開買付けと一連の取引として行われていると認定した上で,第1段階の取引である公開買付けにおける買付価格は,第二段階の取引である株式交換によって生じる相乗効果(シナジー)をも織り込んだうえで設定されているものだと推認した。
そして,この第2取引である株式交換によって生じる相乗効果(シナジー)は,その株式交換に反対している株主の保有する株式価格にも適正に反映されるべきであるから,株式買取請求を行った反対株主に払われるべき「公正な価格」は,原則として第1段階取引での買付価格を下回らないとしたのである。

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