重要判例解説(9);最高裁判所平成21年9月4日判決

1 事案
X(原告・控訴人・上告人)は,貸金業者Y(被告・被控訴人・被上告人)と,継続的な貸付取引を行った。これは,期間の異なる2つの基本契約に基づいて行われた(第1取引昭和55年1月~平成9年1月,第2取引平成16年9月~平成19年1月)。Xは,これら2つの取引を一連のものとみて,利息制限法の制限を超過して支払った
利息を元本に充当すると過払金が生じており,かつ,Yは悪意の受益者にあたると主張し,過払金返還とこれに対する民法704条前段所定の利息の支払を求めた(主位的請求)。また,Xは,仮に2つの取引を一連と見た上での計算(一連計算)による充当が否定され,第1取引の過払金返還請求権について消滅時効が完成したとしても,Yが第1取引で過払金を受領し続けた行為が不法行為に当たるとして,第1取引における過払金相当額の損害賠償およびこれに対する遅延損害金の支払を求めた(予備的請求)
原審は(広島高判平成20年10月8日)は,平成20年判例(最判平成20年1月18日)を前提に,一連計算での充当を否定した上で,消滅時効の完成を認めて,主位的請求を棄却した。予備的請求についても,刑罰法規や社会良俗に反するような社会的相当性を欠く場合でない限り,過払金を受領し続けることが不法行為を構成することはないとして,棄却した。

2 判旨
一部上告棄却,一部上告却下。
「一般に,貸金業者が,借主に対し貸金の支払を請求し,借主から弁済を受ける行為それ自体は,当該貸金債権が存在しないと事後的に判断されたことや,長期間にわたり制限超過部分を含む弁済を受けたことにより結果的に過払金が多額となったことのみをもって直ちに不法行為を構成するということはできず,これが不法行為を構成するのは,上記請求ないし受領が暴行,脅迫等を伴うものであったり,貸金業者が当該貸金債権が事実的,法律的根拠を欠くものであることを知りながら,又は通常の貸金業者であれば容易にそのことを知り得たのに,あえてその請求をしたりしたなど,その行為の態様が社会通念に照らして著しく相当性を欠く場合に限られるものと解される。この理は,当該貸金業者が過払金の受領につき,民法704条所定の悪意の受益者であると推定される場合においても異なるところはない。
本件において,YのXに対する貸金の支払請求ないしXからの弁済金の受領が,暴行,脅迫等を伴うものであったことはうかがわれず,また,第1取引に基づき過払金が発生した当時,貸金業法43条1項(平成18年法律第115号による改正前のもの)により,制限超過部分についても一定の要件の下にこれを有効な利息債務の弁済とみなすものとされており,しかも,その適用要件の解釈につき下級審裁判例の見解は分かれていて,当審の判断も示されていなかったことは当裁判所に顕著であって,このことからすると,Yが,上記過払金の発生以後,貸金債権が事実的,法律的根拠を欠くものであることを知りながら,又は通常の貸金業者であれば容易にそのことを知り得たのにあえてその請求をしたということもできず,その行為の態様が社会通念に照らして著しく相当性を欠くものであったとはいえない。したがって,Yが民法704条所定の悪意の受益者であると推定されるとしても,Yが過払金を受領し続けた行為は不法行為を構成するものではない。」
「なお,Xは主位的請求に関する部分についても上告受理の申立てをしたが,その理由を記載した書面を提出しないから,同部分についての上告を却下することとする。」

3 解説
判例は,過払金受領における貸金業者の悪意性について,比較的広く認めてきている。
本件判例は,悪意の受益者であると推定される場合であっても,その過払金受領が不法行為を構成するか否かはまた別に検討が必要である旨を示したものである。
とはいえ,第1取引当時から現在までの間に,過払金に関する判例が多数判示されていることからすれば,本件判決のように「貸金債権が事実的,法律的根拠を欠くものであることを知りながら,又は通常の貸金業者であれば容易にそのことを知り得たのにあえてその請求をしたということもできず」と認定される場合はそう多くはないであろう。

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