重要判例解説(19);最高裁判所平成20年1月18日判決

1 事案
X(原告・控訴人・被上告人)は,消費者金融業者Y(被告・被控訴人・上告人)との間で,2度にわたって,基本契約を締結し,それに基づいて継続的に金銭の借入れと返済を繰り返した。
第1の取引は,平成2年9月3日,リボルビング式金銭消費貸借に係る基本契約Ⅰ(融資限度額50万円,利息年29,2%,遅延損害金年36,5%)を締結し,これに基づいて,平成7年7月19日までの間,金銭の借入れと弁済を行った。
利息の制限超過部分を元本に充当させると,この時点での過払金は42万9657円(α)となる。
第2の取引は,平成10年6月8日,リボルビング式金銭消費貸借に係る基本契約Ⅱ(融資限度額50万円,利息年29,95%,遅延損害金年39,5%)を締結し,これに基づいて,平成17年7月7日までの間,金銭の借入れと弁済を行った。
利息の制限超過部分を元本に充当させると,この時点での過払金は27万2973円(β)となる
Xは,αは基本契約Ⅱに基づく貸付の元本に当然充当されるとして,その前提で算出した過払金68万7802円(γ)の返還を,Yに求めた。
第1審(名古屋地判平成18年4月19日)は,基本契約Ⅰの終了から基本契約Ⅱの開始までの間の3年間は取引が中断していることに着目して,この2つは別個の契約であるとした。その上で,基本契約Ⅰに関するαについての不当利得返還請求権は10年の経過によって時効消滅しているとして,基本契約Ⅱに関するβについての不当利得請求権だけを認容した。
原審(名古屋高判平成18年10月6日)は,Ⅰ・Ⅱの二つの契約は実質的に一体だと判断し,過払金元本充当についてのX主張を認めて,Yにγの返還を命じた。

2 判旨
破棄差戻し。
「同一の貸主と借主との間で継続的に貸付けとその弁済が繰り返されることを予定した基本契約が締結され,この基本契約に基づく取引に係る債務の各弁済金のうち制限超過部分を元本に充当すると過払金が発生するに至ったが,過払金が発生することとなった弁済がされた時点においては両者の間に他の債務が存在せず,その後に,両者の間で改めて金銭消費貸借に係る基本契約が締結され,この基本契約に基づく取引に係る債務が発生した場合には,第1の基本契約に基づく取引により発生した過払金を新たな借入金債務に充当する旨の合意が存在するなど特段の事情がない限り,第1の基本契約に基づく取引に係る過払金は,第2の基本契約に基づく取引に係る債務には充当されないと解するのが相当である(最高裁平成18年(受)第1187号同19年2月13日第三小法廷判決・民集61巻1号182頁,最高裁平成18年(受)第1887号同19年6月7日第一小法廷判決・民集61巻4号1537頁参照)。そして,第1の基本契約に基づく貸付け及び弁済が反復継続して行われた期間の長さやこれに基づく最終の弁済から第2の基本契約に基づく最初の貸付けまでの期間,第1の基本契約についての契約書の返還の有無,借入れ等に際し使用されるカードが発行されている場合にはその失効手続の有無,第1の基本契約に基づく最終の弁済から第2の基本契約が締結されるまでの間における貸主と借主との接触の状況,第2の基本契約が締結されるに至る経緯,第1と第2の各基本契約における利率等の契約条件の異同等の事情を考慮して,第1の基本契約に基づく債務が完済されてもこれが終了せず,第1の基本契約に基づく取引と第2の基本契約に基づく取引とが事実上1個の連続した貸付取引であると評価することができる場合には,上記合意が存在するものと解するのが相当である。」
本件においては,基本契約Ⅰと基本契約Ⅱとでは,利息,遅延損害金の利率が異なるなどの事情があり,原審が認定した事情のみからは,特段の事情が存在すると解することはできない。

3 解説
本件判決は,特段の事情がない限り,第1の基本契約に基づく金銭消費貸借取引について生じた過払金は,第2の基本契約に基づく金銭消費貸借取引に係る債務に充当されないとした。
そして,その特段の事情にあたる,「第1の基本契約に基づく過払金を新たな借入金債務に充当する旨の合意」が認められるか否かを認定する上での考慮事項について,具体的に挙げている。

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