重要判例解説(21);最高裁判所平成19年12月4日決定

1 事案
A所有の土地(以下,「α土地」)と,Y(相手方=申立人・抗告人・抗告人)所有の本件土地は,隣接している。
Bは、Aからα土地を、Yから本件土地をそれぞれ賃借し、それらの土地上にまたがる形で本件建物を所有していた。Bは,本件建物の全ての部屋が、貸店舗や貸事務所として貸し出していた。
本件建物について、担保不動産競売が実行され、X(ビルの貸室業者。申立人=相手方・相手方・相手方)がこれを買い受けた。
Xは,Yに対して、本件土地についての借地権(「本件借地権」)の譲渡についての承諾を求めたが、Yが応じないので、Yの承諾に代わる許可の裁判(借地借家法20条1項)を求めた(以下,「甲事件」)。
これに対して、Yは、本件建物及び本件借地権を自ら譲り受ける旨の裁判(借地借家法20条2項による同19条3項準用)を求めた(以下,「乙事件」)
原々審(東京地決平成18年6月19日)は,甲事件については,XがYに3378万5000円を支払うことを命ずるとともに、借地権譲受けを許可した。
乙事件については,次のように述べてYの申立てを却下した。
α土地所有者AとXの間で和解が成立し、その中でAがXのα土地賃借権譲受けを承諾しているのは認められるが,Aがα土地賃借権のYへの譲渡を承諾しているとは認められない。そして,Yの介入権(優先譲受権)申立てを認めると、本件建物のうちα土地上にある部分についてはYに占有権原がないし、その部分の利用について今後A・Y間の協議に委ねるのは本件建物の権利関係を複雑かつ不安定なものにするので,妥当ではない。
これを受けて,Yは、甲事件についてはXへの本件土地賃借権譲渡許可の裁判の取消しを,乙事件についてはYが本件建物を譲り受け、かつ、本件土地及びα土地の各賃借権を自ら譲り受ける事の許可の裁判をそれぞれ求めて抗告した。
原審(東京高決平成18年9月12日)は,それぞれ次のように述べて,Yの抗告をいずれも棄却した。
甲事件については,Xが本件土地の賃借権を取得してもYの不利となるおそれはないこと、原々審がXに財産上の給付としてYに対して3378万5000円を支払うことを命じたことは正当であることなどを理由に,抗告を棄却した。
乙事件については,次のような理由から抗告を棄却した。
①借地借家法20条2項が準用する同法19条3項は、競売又は公売により建物を買い受けた第三者と借地権設定者の利害調整を趣旨とする規定であり、借地権設定者に賃借権を回収する機会を与えたものである。したがって,Yが譲渡を受けることができるのは、Yが賃借権を設定した本件土地の上に存在する建物部分と本件土地の賃借権に限られる

②本件土地上の建物部分を独立の区分所有権の客体に変更することが事実上不可能だからといって、Yが所有していないα土地の上にある建物部分についてまでYが譲渡を受けることを許容し、結果、Aの承諾なくα土地の借地権をYに譲渡又は転貸させ、競売により本件建物全体を買い受けたXの賃借権譲受許可の申立てを認めないのは、X・Y間の利害調整として妥当と言い難く、借地借家法が予定しているところではない。

2 決定要旨
抗告棄却
「賃借権の目的である土地と他の土地とにまたがって建築されている建物を競売により取得した第三者が,借地借家法20条1項に基づき,賃借権の譲渡の承諾に代わる許可を求める旨の申立てをした場合において,借地権設定者が,同条2項,同法19条3項に基づき,自ら当該建物及び賃借権の譲渡を受ける旨の申立てをすることは許されないものと解するのが相当である。なぜなら,裁判所は,法律上,賃借権及びその目的である土地上の建物を借地権設定者へ譲渡することを命ずる権限を付与されているが(同法20条2項,19条3項),賃借権の目的外の土地上の建物部分やその敷地の利用権を譲渡することを命ずる権限など,それ以外の権限は付与されていないので,借地権設定者の上記申立ては,裁判所に権限のない事項を命ずることを求めるものといわざるを得ないからである。」

3 解説
本決定について端的に言えば,甲事件については,借地権譲渡を承諾しても借地権設定者(Y)に不利となるおそれがない場合であるから,借地借家法20条1項の賃借権の譲渡の承諾に代わる許可を求める旨の申立てが認められるとし,乙事件については,Yにα土地賃借権を譲渡させるよう命じる権限は裁判所にないとしたものである。

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