重要判例解説(23);最高裁判所平成20年6月10日判決

1 事案
Y(被告・被控訴人・被上告人)は,ヤミ金融組織Aを構築し,その各店舗において店長・店員らをヤミ金融業務に従事させていた。
X1~X11(原告・控訴人・上告人)は,平成12年から15年の間に,Aの店舗から年利数百%から数千%の高金利で借入れ,元利を弁済した。
X1~X11は,Aの統括責任者Yに対し,選択的に民法709条,715条1項,719条1項前段を根拠として,X1らが弁済した元本・利息の返還を,平成16年1月1日(不法行為の成立が明白であるとした時点)以後から支払済みまでの年5分の遅延利息も含めて損害賠償請求した。また,これと同時に,取立ての際のA店員の脅迫的言辞を理由に,慰謝料(民法710条)も請求した。
1審(松山地判平成18年6月7日)は,民法719条1項を根拠に,X1ら7名の請求を一部認容した。
その理由はつぎのとおりである。
金利が出資法の制限(29,2%)を著しく上回る場合,消費貸借契約自体が公序良俗に反して無効となる。その結果,交付した元金は不法原因給付となって,貸主はこれについて返還を請求できないが,借主が受領した元金は損益相殺の考え方により,その損害から控除され,借主は一旦返還した元金の返還を請求できない。
原審(高松高判平成18年12月21日)は,民法715条を根拠にX1~X11の請求を一部認容した。
その理由は1審とほぼ同じだが,それに加えて,懲罰的な損害賠償を求めるX1らに対して,不法行為の損害賠償は損害の補填をその目的としており,X1らが受領した金銭の損益相殺が,公平妥当という不法行為の制度趣旨に沿うと説いている。

2 判旨
破棄差戻し。
「 民法708条は,不法原因給付,すなわち,社会の倫理,道徳に反する醜悪な行為(以下「反倫理的行為」という。)に係る給付については不当利得返還請求を許さない旨を定め,これによって,反倫理的行為については,同条ただし書に定める場合を除き,法律上保護されないことを明らかにしたものと解すべきである。したがって,反倫理的行為に該当する不法行為の被害者が,これによって損害を被るとともに,当該反倫理的行為に係る給付を受けて利益を得た場合には,同利益については,加害者からの不当利得返還請求が許されないだけでなく,被害者からの不法行為に基づく損害賠償請求において損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象として被害者の損害額から控除することも,上記のような民法708条の趣旨に反するものとして許されないものというべきである。」「これを本件についてみると,前記事実関係によれば,著しく高利の貸付けという形をとって上告人らから元利金等の名目で違法に金員を取得し,多大の利益を得るという反倫理的行為に該当する不法行為の手段として,本件各店舗から上告人らに対して貸付けとしての金員が交付されたというのであるから,上記の金員の交付によって上告人らが得た利益は,不法原因給付によって生じたものというべきであり,同利益を損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象として上告人らの損害額から控除することは許されない。」
田原睦夫裁判官の意見は,給付が不法原因給付でも,被害の性質,程度,被害者の対応,加害行為の態様等から,給付を損益相殺する場合も考えうる。ただし,X1らが元利金を区別せず弁済した本件では弁済の都度損害が発生し,損益相殺の余地はないとする。

3 解説
本件判決は,貸付自体(元本の交付)が不法行為であるから,不法原因給付が法律上の保護に値しないのと同様に,元本と損害とで損益相殺をすることは許されないとしている。
原審までが,現実に生じた損害を補填することを重視して元本交付はX1らが受けた利益だととらえて損害額から控除したのに対して,本件判決はヤミ金抑止の観点から不法行為を構成するような元本交付はそうした処理に値しないとしたものといえよう。

アクセス

横浜駅みなみ西口徒歩5分

神奈川県横浜市西区南幸2-20-2
共栄ビル6階(地図はこちら

交通

  • JR横浜駅西口 徒歩7分
  • ブルーライン、相鉄線横浜駅みなみ西口徒歩5分

債務整理の無料相談(24時間受付)

借金問題で弁護士をお探しの場合

相談は何度でも無料です

無料法律相談(24時間受付)をご利用下さい

刑事事件の無料相談(24時間受付)

逮捕・起訴されて弁護士をお探しの場合

刑事弁護はスピードが勝負

無料法律相談(24時間受付)をご利用下さい

離婚法律相談

皆様と弁護士と二人三脚で問題の解決へ進みます

離婚協議書作成とメールによる話し合いサポート

相続法律相談

新橋本店との連携で専門性の高い案件にも対応

横浜を起点とする沿線都市に出張相談可(日当+交通費をいただきます)

交通事故無料法律相談

保険会社の言いなりにならない解決、適正な損害賠償額を目指すためにサポートいたします