起訴前刑事弁護の重要性について

みなさんは刑事弁護というと、起訴されて刑事裁判(公判)が開始されてからの刑事弁護を考える方が大半ではないでしょうか。ニュース報道でも、起訴されてから弁護士が登場することが多いかと思います。

しかし、刑事裁判(公判)は、起訴前の逮捕勾留段階での捜査取調べに基づいて得られた本人(逮捕勾留段階では、被疑者、起訴後は被告人)の供述調書が重要な証拠となり、判決を大きく左右します。逮捕されたら必ず10日間の勾留になるかといえば、事案や本人(被疑者)の身元にも左右されますが、弁護士(刑事弁護人)が検察官に働きかけることで勾留請求を検察官が断念することもありますし、勾留決定の判断をする裁判官に弁護士(刑事弁護人)が働きかけることで勾留決定されずに釈放されることが少なからずあります。その意味では、起訴前の刑事弁護は極めて重要と言えます。会社員が被疑者として逮捕され、さらに10日間勾留されれば、会社が事情を知ることになり、会社から解雇処分を受ける可能性が高いと思います。そうなると、判決で執行猶予判決となって社会復帰しても、経済的に破たんしてしまい、その後の生活に多大な支障を生じます。その意味でも、起訴前の刑事弁護の意味が極めて大きいものがあります。仮に勾留決定されたとしても、被害者が個人の場合には早急の示談を取り付けて検察官に示談書を提出すれば、釈放されて、その後不起訴処分(まれに罰金もありますが)となります。身柄拘束されたら一日でも社会復帰して仕事に戻ることができるようにすることが刑事弁護の一つの目標と言っていいでしょう。逮捕されたらすぐに弁護士に刑事弁護を依頼して悔いのないようにしていただければと思います。

このような起訴前刑事弁護の重要性を踏まえて、以前は起訴後でなければ国選弁護人がつきませんでした、少し前の刑事訴訟法改正によって、法定刑が懲役1年以上の罪の被疑者には国選弁護人がつくように制度変更されたのです。もっとも、国選弁護人が適切な刑事弁護をするかどうかは個人差が大きいのが現実です。その理由としては、弁護士数が多くなり、以前のように国選刑事弁護を通して十分な刑事弁護スキルを身につける機会が大幅に減少したことがあげられるかと思います。また、国選弁護報酬は弁護士会が改善を国に求めていますが、低額である現実から国選刑事弁護人の対応がおざなりになってしまうことも考えられます。

 

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