刑事手続きの流れと弁護活動の概要

起訴前の手続の流れ、概要

身柄を拘束して行う強制捜査はア)逮捕、イ)勾留の順になされます。このように逮捕せずに勾留することができないとの制度を捕前置主義と言っています。

1. 逮捕

逮捕には、現行犯逮捕、令状逮捕(通常逮捕)、緊急逮捕の3種類ありますが、約5割が令状逮捕、約4割強が現行犯逮捕、残りが緊急逮捕と言われております。

逮捕は通常警察官が行いますが(検察官も逮捕できます、特捜部事件などがいい例です)、

警察官は逮捕してから48時間以内(場合によっては72時間以内)に被疑者を検察庁に送検しなければなりません。

この逮捕期間中は、被疑者の家族は被疑者と面会することはできません。面会(接見)できるのは弁護人になろうとする弁護士ないし弁護人だけとなります。逮捕段階で逮捕された家族の状況を知りたい方は弁護士に弁護を依頼することになります。

2. 勾留

警察から事件の送致を受けた検察官は被疑者からの事情聴取をして、被疑者が被疑事実を認めていて逃亡証拠隠滅の恐れがなく、身柄拘束しての捜査取り調べの必要はないと判断すれば、釈放します。逆に身柄拘束しての捜査取り調べの必要があると判断すれば、裁判官に勾留請求をすることになります。

裁判官に勾留請求がなされると、裁判官は被疑者の陳述(勾留質問)も考慮して勾留の理由があり、必要性もあると判断した場合には勾留決定をすることになります。現状ではほとんどの場合に勾留決定がなされておりますが、軽微な事案の場合には検察官の勾留請求に対して勾留決定をしない場合も近時増えています。

3. 接見禁止

勾留では、共犯事案などでは証拠隠滅の恐れがあるために、弁護人となろうとする弁護士、弁護人(弁護士)以外の者は親族であっても接見(面会)が禁止されることが一般です。

もっとも、差し入れは接見禁止がついていてもすることができますので、その場合には警察の留置係にどのようなものが差し入れできるか聞いて差し入れをしてください。

起訴前の弁護活動

弁護士が被疑者本人や親族から弁護の依頼を受けると、まず、被疑者に接見(面会)して被疑事実の確認をするとともに、被疑者の権利(黙秘権など)を伝え、公判で重要な証拠となる供述調書の作成上の留意点を助言します。

同じ事実であっても、評価の問題(特に主観的認識、故意や目的の有無)がありますので、供述調書の記載内容如何で故意などの認定が左右されますので、黙秘権を行使しないのであれば正確な供述をするよう助言しております。

また、個人的法益を侵害する犯罪の被疑事実の場合には、被害者との示談を取り付ける弁護活動を行っております。勾留中に示談がまとまった場合には重大事案(たとえばひき逃げなど)以外では、起訴猶予処分となるか、略式請求(罰金)に留まり、正式起訴に至らないことが大半です。

起訴後の手続き

1. まず、起訴によって、捜査が終わったことから被告人は保釈請求をすることが可能となります。起訴事実(公訴事実)を被告人が認めており、逃亡、罪証隠滅の恐れがない場合には保釈金を条件として保釈がなされます。他方で、起訴事実(公訴事実)を被告人が争っている場合や追起訴が予定されている場合には第1回公判までは保釈が認められないことが大半ですが、裁判員裁判の導入によって保釈に関する裁判所の方針に変化が見られます。

保釈請求

単独事件(共犯事件でなく被告人が1人の場合)では検察官からの証拠開示が第1回公判の2週間ほど前になされます。弁護人である弁護士は開示された証拠を謄写して被告人に渡して調書の同意不同意(同意とは公判で証拠とすることに同意することを意味する)の確認をしてもらい、通常、第1回公判において、検察官提出証拠に対する証拠意見を弁護人として提出することになります。なお、開示証拠は第三者への閲覧などは刑事訴訟法上禁止されています。

2.公判手続(刑事裁判期日)では、冒頭手続きとして、裁判官による被告人の人定質問、被告人に対する黙秘権告知がなされた後で、検察官による起訴状朗読があり、それに対して被告人による罪状認否、弁護人の意見陳述があります。

その後に検察官が冒頭陳述(立証によって明らかにしようとする犯罪事実や情状関係の陳述)を行います。これに対して、特に否認事件の場合には、弁護人からも冒頭陳述(立証によって公訴事実が事実とは異なることを明らかにしようとする内容の陳述)を行うことがあります。

その後に、証拠調べ手続きに入って、検察官から証拠申請があり、弁護人から被告人の意見を踏まえて、証拠意見(同意不同意や異議の有無)を述べることになります。

弁護人が不同意にした供述証拠関係で検察官が公訴事実の立証に不可欠と考えた供述者については、証人申請をして、通常、裁判所はそれを採用して証人尋問をすることになります。他方、弁護人も証拠申請をします。

被告人が公訴事実を争っている否認事件では検察官が提出した証拠や証人の証言の信用性を争うためにたとえば被告人に有利な目撃証人の証拠調べ申請をして証人尋問をすることになります。

情状事件では、示談が成立すれば示談書などの証拠申請を行うほか、身元引受人である親族などの証人申請をすることになります。

3. 情状事件の場合には、情状証人の証人尋問の後に被告人質問を行って証拠調べを終えて、検察官による論告求刑、弁護人による弁論要旨の陳述によって、通常は1回の審理で結審し、次回に判決言い渡しとなります。なお、裁判官によっては執行猶予付き判決の場合には当日判決言い渡しをすることもあります。

4.否認事件では、検察側証人の証人尋問、弁護側の証人の証人尋問が主戦場になります。検察側、弁護側いずれも相手方証人への反対尋問によって、相手方証人の証言の信用性、証明力をどれだけ弾劾できるかがポイントになってきます。

証人尋問を終えると、被告人質問となり、ここでは検察側の反対尋問が重要になり、弁護側としては反対尋問によって不利な形勢となった場合には再主尋問でどれだけ挽回するかがポイントになってきます。

これらを終えると、検察側の論告求刑、弁護側の弁論要旨の陳述を行い、結審となり、次回に判決言い渡しとなります。

5.公判手続での弁護活動のポイント

犯罪事実について争っていない情状事件で個人的法益を侵害する犯罪の場合は、示談の取り付けや被害弁償が重要となってきます。

他方、否認事件では、証人尋問での検察側証人への反対尋問、弁護側証人への再主尋問(検察官の反対尋問で不利な形勢となった場合)がポイントとなってきます。これらの反対尋問や再主尋問はとっさの判断が尋問の良し悪しにつながってきますので、弁護士によって得手不得手があるのが実際です。

5.判決

執行猶予判決を期待していたが実刑判決となった場合、判決の量刑が不当である場合

6.控訴

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